「育児のなかで読み聞かせがいちばん嫌い」だった理系ママがたどり着いた答え

よそのお宅の子ども用本棚ってどんな感じ?
普段なかなか目にする機会のない、一般のご家庭のプライベート空間をのぞいてみました。

今回は、Aちゃん(11歳)、Tくん(9歳)、Sちゃん(4歳)の本棚です。

Q:お子さんたちに購入した絵本や本で印象に残っているものはありますか。
A:母・翠さん

特にないんです。実は、育児のなかで「読み聞かせ」の時間が一番嫌いだったんです(笑)。

もともと理系科目が好きで、じっとしているのも苦手。第一子である長女を生んだときには、読み聞かせの時間を楽しいと感じられませんでした。けれど、長女が幼稚園生になって園からもらってくる絵本を一生懸命に読んでいる姿を目にして、親の私が変わらなければ、と図書館に足を運ぶようになりました。

今思えば、その頃から長女の本好きが始まった気がします。現在11歳になる長女は、大人向けの厚い本を読み、誕生日プレゼントには図書カードを希望するほどの本の虫です。

長女のために図書館に通い始めた頃、長男は2歳でしたので、息子には比較的小さい頃から読み聞かせをしていたのですが、絵本にはあまり興味を示しませんでした。

親の影響もあるのか息子は、算数オタクで、迷路やゲームの本を好みました。クイズや問題を解くのは今でも大好きで、毎朝、『読解ドリル』(三木俊一/清風堂書店)に挑戦しています。

現在、4歳の次女が生まれたときには、本好きの姉が買った本がすでにたくさん家の中にありました。姉が本を読む姿も日常的に見ていましたので、自然と本に興味を持つ環境が出来ていました。

次女とは、よく図書館にも行くのですが、読み聞かせが苦手な私は、ベストセラーや良書といわれる本を選ぶのではなく、自分自身が好きな絵や文章が少なめの絵本を選ぶようにしています。そうすることで、苦手だった読み聞かせが少しずつ好きになっていきました。

Q:お子さんたちとの本の時間で印象的な出来事は?

A:ほとんど読み聞かせをしなかった長女は、今では本の虫。私なりにたくさん読み聞かせをした長男は、読書好きではなく、読解演習好き。幼い頃からたくさんの本に囲まれていた次女は、図書館通いにはまっています。

「本の楽しさ」を知る方法は、読み聞かせだけではないと感じています。一人一人にあった活字との向かい方があります。それを子どもたちと一緒に、見つけていくのもまた楽しいです。

Q:本選び、本棚づくりで意識していることは何ですか。

A:一番、意識しているのは「気軽に触れられる本棚」であること。整理整頓され過ぎているとなかなか手にしない。でも乱雑でも触りたくないですよね。わが家では、すべての部屋に本棚を作り、本が置いてあるのが当たり前の環境をつくっています。

もちろん、トイレにも。初めは、忙しい長女のためにトイレでも本が読めたらと本棚を設置しました。ところが、落ち着いて読書できる空間なのか、長男がここでクイズをしたり、次女がお気に入りの絵本を持ち込んだり、トイレの中がだいぶにぎやかになっています(笑)

それぞれの本棚を見ていくと、長女の場合は、勉強の息抜きに読書するので、本棚に勉強道具と好きな本が同居しています。

長男は、ルービックキューブの隣にその攻略本、パソコンの隣にプログラミング攻略本と彼の興味のある分野に関連する本を置いておくと、我を忘れて読んでいます。

次女は、自分で手に取れる低い位置に好きなように絵本を置いています。だれかに強制されるのではなく、自分で選んだ本が並んでいることが、本を好きになる第一歩だと感じています。

本棚には、対象年齢より低い絵本も置いています。ひらがなが読めるようになった次女には、0歳さんの絵本が文字の大きさ、文字量ともに自分で読むにはちょうどいいからです。

次女とは読み聞かせ合いもします。私が読んだ後は娘の番。次女が読み終わった後には、「ありがとう~」「すごく上手~」とたくさん声をかけます。すると、得意げにもう一冊読んでくれますね。

Q:翠さんご自身が好きな絵本は何ですか。

A:五味太郎さんの絵本が好きです。特に絵が好きですが、オノマトペ、言葉遊びがたくさんでてくるのも楽しいですね。

改めて考えてみると、私の幼少期に家にあった絵本、ことわざ事典、英語学習テープがどれも五味太郎さんのものでした。幼児期に楽しんだものは大人になっても自然と惹かれるものですね。わが子にも幼児期に接した絵本や本に、いつまでも親しみを持ってもらえたらうれしいです。

「想像力」と「創造力」を刺激する、親子参加型の絵本ワークショップを企画・運営する団体です。子育て期の女性たちが教育やビジネスの現場で培ったスキルや経験を生かして、親と子の学びの場をつくっています。
くまのこ絵本工房 : http://www.facebook.com/kumanokoehon/