よそのお宅の子ども用本棚ってどんな感じ?
普段なかなか目にする機会のない、一般のご家庭のプライベート空間をのぞいてみました。
No.006は、Aくん(5歳)とKちゃん(2歳)の本棚です。今回は、長男・Aくんのお話を中心にお聞きしました。
──お子さんたちのために購入した絵本で印象に残っているものはありますか。
母・聡子さん:
ノルウェーの昔話『三びきのやぎのがらがらどん』(絵:マーシャ・ブラウン 訳:せたていじ/福音館書店)です。
現在、5歳になるAは、2歳半頃からストーリーを追うようになってきたので、長めの物語をよく読むようになりました。私も小さい頃に読んだ本の中から、読み聞かせたのがこの本です。初めて読んだときの息子の表情をよく覚えています。息子は、物語の展開が怖くて怖くて「もう読みたくない!」と怒り出すのですが、しばらくすると「やっぱり読んで」とせがむ。その様子がおかしくて今でも思い出します。
そのうち「がらがらどんはどこへいったのだろう?」「どうしてやっつけられてしまったのか」と聞いてくるようになりました。けれど答えはありません。テレビと違って、絵本は答えを教えてくれません。だからこそ、本を閉じたときに残る余韻のようなものを、息子が感じ取り始めたんだなぁと思った本でした。
──お子さんとの絵本の時間で、印象的なエピソードがありましたら教えてください。
今ではどんなジャンルの絵本も好んで読みます。特に電車や戦隊ものは好きですが、それは出来るだけ図書館で借りています(笑) 特にのめり込むのは、2歳から愛読している「ウォーリーをさがせ」シリーズや、香川元太郎さんの迷路絵本シリーズなど本の中で遊べるものが多いですね。
それから『あくたれラルフ』(作:ジャック・ガントス 絵:ニコール・ルーベル 訳:石井桃子/出版社:童話館出版)を読んでいるときの目のキラキラったらありません。息子は、あくたれラルフのハチャメチャな行動にあこがれを抱いているのかしら? と思うほどです(笑)
絵本は、毎晩入浴前に読んでいます。その日のセレクトで、彼が1日どんな気持ちだったのか、今私に何をしてほしいのかが何となく伝わってきます。
私とたくさんケンカした後は、『ちょっとだけ』(作:瀧村有子 絵:鈴木永子/福音館書店)『おかあさんだもの』(作:サトシン 絵:松成真理子/アリス館)など、読みながらいつもお互いにギューっとするもの。
気分がいい時は、電車もの。ワクワクしているときは、『おふろだいすき』(作作:松岡享子 絵:林明子/福音館書店)など、想像してくすっと笑ってしまう本ですね。
息子はまだすべてを言葉にできない分、こうして気持ちを伝えてくれているのかと思うと、ついガミガミ言ってしまう自分が情けなくなるほどです。
──聡子さんが手元に置いておきたい絵本とはどんなものですか。
家族や友人に対する愛や思いやりを感じられる本です。息子は小さいときに祖母を亡くしていますから、大切な人が亡くなったときにどうするかを問いてくれる『わすれられないおくりもの』(作・絵:スーザン・バーレイ 訳:小川仁央/評論社)は大切な一冊です。言葉だけでは伝えきれないことを伝えてくれる絵本です。
──お子さん用の本棚づくりで意識していることは何ですか。
本棚は、おもちゃ箱よりもメインの場所に置いています。毎日絵本を元あった場所へ戻す。絵本や本を踏まない、大切に扱うということ(2歳の娘も同様です)を伝えています。
──聡子さんご自身が好きな絵本は何ですか。
『ルピナスさん』(作・絵:バーバラ・クーニー 訳:掛川恭子/ほるぷ出版)です。幼少期、母が熱心だったこともあり200冊以上の絵本に囲まれて過ごしていました。なかでも一番読んだ本がこの本です。クーニーの絵の美しさ、女性としての生き方に、小学生ながら強烈にあこがれたことを覚えています。
今、あんな女性になれているかしら? まだそう思えなくて、『ルピナスさん』は実家の本棚だけにそっと立ててあります。